こんにちはたかっぽです。
このページを開いていただいてありがとうございます。
珍味にもいろいろありますが、カラスミこそ酒の肴には「持ってこい!」の珍味です。
カラスミは海のチーズとも呼ばれ、塩辛くネットリした濃厚な味はまさに絶品!
確かに旨い!
好きな人にはたまらない食品でしょう。
僕も大好きです…がなにしろ高いので、そうそう簡単には買えません。
高級なものになると国産本カラスミ一腹(200g)で1万5千円~2万円。
それ以上するものもありますからね。
食べたくてもたいていの人は「俺には手が出ん!」と言う人も多いのでは…。
そこで今回は、ならばひとつ自分でカラスミを作ってみましょうよ…って話なんです。
カラスミは一見難しいそうですが、実はそうでもないんです。
作ろうと思えば誰でも作れます。
ただ作業工程はシンプルなんですが、手間と期間を要しますのでその点が難点と言えば難点ですかね…。
でも挑戦してみる価値は大いに「アリ!」ですよ。
30年以上自家製カラスミを作っている僕が、そのやり方をできるだけわかりやすく一気に解説していきますので、あなたの情熱を爆発させ、「こりゃ旨い!」と堪能できるカラスミをぜひ一発作ってみてください。
※:記事は「前編」と「後編」に分けて話を進めます。
目次
【前編】自家製カラスミの作り方/血抜き/塩漬け/の工程
画像はカラスミを作るボラの真子(一腹340g~380g)
カラスミは仕上がるまで各作業工程を進めていかなければなりません。
やや面倒な工程もありますが、ひとつでも手抜きすれば美味しいカラスミが出来ませんので、ひとつひとつしっかり作業を進めてきましょう。
作業工程は下記の5つです。
【1】血抜き/血管に針を刺し丁寧に血抜きする。
【2】】塩漬け/たっぷりの塩で1週間塩漬けにする。
【3】塩抜き/薄い塩水につけ塩分を抜く。
【4】酒漬け/酒に1週間漬け込む。
【5】干し方/昼は天日干し、夜は室内または冷蔵庫に保存。
上記の5つの流れですね。
カラスミは前述したように、長い期間(日数)を要します。
大きさによって多少の違いはありますが、おおむね30日~35日ほどの期間はかかると思ってください。
干し方の工程ではお天道さまとの勝負になりますので、天候に恵まれないときにはさらに難航するかもしれません。
でも手間ひまかけた分、カラスミが無事完成した時は、目的達成の満足感を得られます。
大丈夫です。必ずできますから頑張ってやり抜きましょう。
まずは「真子の血抜き」から始めます。
【1】:血抜き/血管に針を刺し丁寧に血抜きする
▼血抜きにはまち針を用意します▼
(まち針がなければ竹串や爪楊枝、弁当用のピックでも構いませんが、できるだけ先の細い鋭いものを用意してください)
ボラの真子には細い血管と裏側に太い血管があります。
その血管の血を「まち針」できれいに処理します。
血抜きせずにそのまま調理すると、臭みが残るので血抜きの作業は完全にしておいてください。
<血抜きの作業工程は次のとおり>
①:細い血管と裏側の太い血管をまち針で5㎜間隔で刺していく。
手間はかかりますが皮を破かないように約5㎜間隔でプツプツと刺していきます。とくに裏側の太い血管はしっかりやっておいてください。深く刺しても大丈夫です。
②:真子を水につけスプーン又は指先を使って血管の血を取り除く。
真子を水につけ皮を破かないようにスプーンの先で軽くなぞると血が流れ出ます。指先でもいいですよ。できるだけきれいに取り除いてくださいね。。
細い血管は軽くなぞるだけで構いません。次の③の工程で氷水につけ血抜きをします。
③:タッパに氷水を作り②の真子を浸し冷蔵庫に入れ一晩置く。
先ほど②の段階で血抜きが完全にできなかった細い血管は、氷水に一晩つけ置くと自然に血抜きが出来ます。
④:一晩経つと真子の血管の血がきれいに抜けている。
一晩経つとご覧のように細い血管もきれいに血抜きが出来ています。もしまだ血管に血が残っていたら、その個所をもう一度針で刺し、再び水に3~4時間つけると完璧に取れますよ。
血抜きの作業工程はこれで終了です。
次は塩漬けの工程に入ります。
【2】:塩漬け/たっぷりの塩で1週間塩漬けにする
塩漬けには粗塩を使います。粗塩は真子の分量に合わせて用意します。
たっぷりの塩を使いますのでゆとりのある入れ物も(バットまたはタッパなど)用意してください。
<塩漬けの作業工程は次のとおり>
①:バットに粗塩をすき間なく平らに広げる
バットに粗塩をすき間なく広げます。すき間が開くと満遍なく塩が行き届かないのできっちり広げます。
②:真子の水分をキッチンペーパーで拭き取り塩の上にくっつかないように並べる。
真子の水分をキッチンペーパーで拭き取り、くっつかないようにして塩の上に並べます。
卵巣がくっついたまま塩をすると均等に塩が行き届きませんので…。
③:②が出来たら真子の上にたっぷり塩をかぶせる。
たっぷりの塩を真子の上からかぶせます。真子を塩で覆う感じですね。
後は軽く手でならしておきます。強く押し付けてはいけません。
④:③が出来たらラップをして冷蔵庫に入れ1週間おく。
一日経つと水分が出てきます。水分はそのつど捨ててください。塩が少ない場合は塩を取り替えますが、僕のように最初から多めに塩を使えば取り換える必要はありません。あとは軽くならすだけで大丈夫ですす。
このまま一週間まちです。
★:「前編」の作業工程はここで終了です。
ここまでカラスミの作り方を見て「やっぱり面倒だな…俺にはできない…」と感じた方は通販でもカラスミを購入することが出来ます。
興味のある方はカラスミ一筋325年にも及ぶ歴史のある老舗、高野屋のカラスミ をぜひチエックしてみてください。
それでは自家製カラスミの作り方「後編」へと参ります!
【後編】自家製カラスミの作り方/塩抜き/酒漬け/干し方の工程
<画像は干してから10日経ったカラスミ。中の方がまだ不十分なのでもう少しかな?>
ボラの真子の塩漬けから1週間がたちました。
ここからは塩抜き→酒漬け→干し方の工程へと進みます。
「カラスミ」は「ウニ(塩ウニ)」「ナマコ(このわた)」と並んで日本三大珍味のひとつです。
その三大珍味の中でもカラスミは仕上がるまでに、最も手間と期間がかかる珍味です。
作業そのものは簡単なんですが、何しろ5つの工程を一つひとつクリアしていかなければならないので、初めて作る人はうんざりするかもしれません。
ですが、あきらめないでください。もうひと踏ん張りです!
どうか頑張って美味しいカラスミを完成させましょう。
「後編」は塩抜きの作業からです。
【3】:塩抜き/薄い塩水を作り塩分を抜く
<塩抜きの作業は次のとおり>
①:1週間塩漬けした真子を取り出し余分な塩はとり除く。
塩漬けの真子を取り出し余分な塩は取りのぞきます。ご覧のように真子の水分が完全に抜けコチコチになっています。このような状態になればOKです。
②:真子についた塩はきれいに洗い流す
真子についた塩はきれいに洗いします。少しデコボコになっていますが、大丈夫ですよ。
③:バット(又はタッパ)にうすい塩水を作り真子を6時間浸す。
バット(又はタッパ)に薄い塩水を作り真子を6時間ほど浸します。
うすい塩水(呼び塩)は数の子の塩分を抜く方法と同じですね。塩分の割合は水1ℓに対して塩小さじ1の割合です。(※分量に合わせて作ってください)
6時間浸しますが、3時間経ったら水は取り換えます。
④:時間が来たら真子をザルにあげ水分を拭きとる。
6時間浸すとふやけた状態になります。中はまだ芯が残りますが心配いりません。次の酒漬けの段階で完全になりますので…。
水分はキッチンペーパーなどで拭き取ってください。
次は酒漬けです。
【4】:酒漬け/日本酒に1週間漬け込む
酒漬けにはいろいろなパターンがあります。
焼酎だけで漬け込む方法。焼酎と酒を半々にする方法などです。
僕は酒だけにしていますが、自分の好みに合わせて作っても一向にかまいません。
<作業工程は次のとおり>
①:タッパに真子を入れ酒を流し込む。
タッパに真子を入れ酒を流し入れます。真子の表面が出ないよう、しっかりつかるまで酒を入れてくださいね。
僕が使っている酒は黄桜・「辛口一献(からくちいっこん)」です。
値段も手ごろですし、味も引き締まった酒だからです。
②:酒に浸かった真子はタッパの蓋をして冷蔵庫に入れ一週間寝かせる
酒漬けにした真子はタッパの蓋をして冷蔵庫に入れ一周間寝かせます。そのままじっくり待ちましょうね。(写真は一週間たった状態の真子)
③:一周間たったら酒をキッチンペーパーで拭き取りバットに並べ、上からクッキングペーパー(キッチンペーパー)を被せる。
一週間経ったら酒をキッチンペーパーでで拭き取りバットに並べます。そして上からクッキングペーパー(キッチンペーパーで)をかぶせ重しをする準備をします。
④:③の準備が出来たら重しをして冷蔵庫に入れ一晩置く。
僕は同じ大きさのバットを上に置き、重しは鉄アレイ(2㎏)を置きました。
冷蔵庫に入れ一晩置くと、ご覧のようにきれいな形が出来ています。
【5】:干し方/昼は天日干し、夜は室内または冷蔵庫に保存
いよいよ最終段階です。用意するものは干し網です。
昼間は天日干し、そして夜は室内に取り入れる。
またはラップなどして冷蔵庫に保存します。
<作業工程は次のとおり>
①:干し網にクッキングペーパー(巻きすでもOK)を敷き真子を並べる
干し網にクッキングペーパー(巻きすでもOK)を敷き真子を並べます。バットに真子を並べ、そのまま干し網に入れても構いません。
②:①ができたら干し網を外に出して天日干し、夜は室内又は冷蔵庫に保存。
風通しの良い場所を選んで真子を天日干しにします。干しムラを作らないよう一日1回は表と裏を返してください。日が沈んだら室内または冷蔵庫に保存したほうが無難です。
このときも重しをすると形がきれいになります。
③:10日ほど経つとやや回りが硬くなってくる。
10日ほど経つと回りが硬くなってきます。中はまだ柔らさが残っていますのでそのつど酒を塗り、表と裏を返しながら気長に乾燥させていきます。
④:2週間が経ち指で押さえて真子の芯が硬くなっていればカラスミ完成です。
カラスミは大きさによって異なりますが、干し始めてだいたい2週間ぐらいすると芯まで硬くなっているのがわかります。指で押さえて硬くなっていれば完成です。
※カラスミに白い粉のようなものがつく場合があります。これはアミノ酸なので心配いりません。
🔷:カラスミを外に干すときの注意点!
カラスミを外に干すときは「ネコ」や「烏(からす)」にはくれぐれも注意してください。
彼らをなめてはいけません。
なぜなら彼らは何をしてくるか予想がつかないからです。
実際僕は「にくたらしいドラネコ」にガッツリやられた経験があります。
あるとき、干し網を軒下につるしてカラスミを干していました。
高さは充分だと思っていたのですが、横にあるエアコンの室外機までは計算していなかった…。
とはいえ、室外機から干し網まで1m30㎝くらいは離れていたんですよ。
でも敵(どらネコ)はそこからジャンプして干し網に飛びつき中のカラスミをバラバラに…。
異変に気付いて「コラァ~!」と怒鳴って追っ払ったもののあとのまつり。みるも無惨な状態が…。
網はツメで破かれ、完成間近だったカラスミはぐちゃっぐちゃ。
「くっそうおお~涙…涙…」
「烏(からす)」の被害は経験していませんが、とにかく彼らをなめてはいけません。
カラスミを外に干すときはくれぐれもご注意を‼
また天候にも気をつけてください。雨が降りそうな時は外にだすのはやめましょう。
湿気の多いときも外はだめです。湿気もカラスミの敵ですからね。
以上、カラスミを外に干すときの注意点です。
【高級珍味】自家製カラスミの作り方:完成
▼完成品はこちら▼
おつかれさまでした!
やっとカラスミが完成しましたね。
食べ方は一般的には大根を薄切りにしてはさんで食べる方法や、パスタなどに利用されています。
ほっかほっかのご飯の上にきざみ大葉をちらし、焼きカラスミとワサビを添え、ちょう贅沢なお茶漬けなんかもいいですね。
あとは自家製でつくったカラスミを、「俺の作ったカラスミは旨いぞ‼」ってど~んと仲間に自慢してくださいね。
□:カラスミの名前の由来は「唐」の「墨」にそっくりだったから?
カラスミの名前の由来は「唐」の「墨」にそっくりだったから…です。
当時中国のことを「唐⦅から」と呼んでいました。
その「唐(カラ)」の「墨(スミ)」に色や形がよく似ていたことから「カラ→スミ(カラスミ)」と名付けられたとされています。
また一説には豊臣秀吉が肥前名護屋城(現在の佐賀県唐津市)を訪れたとき、長崎代官(鍋島信正)がこの食品を献上した際、今まで口にしたことのない珍味に「これはなんじゃぁ?」と秀吉に聞かれ信正はとっさに「カ…カラスミ」でございます…と答えたことに由来する…とも言われています。
昔は現代のような冷凍保存の技術はなく、常温で熟成させていたため日にちが経つと黒くなり、色も形も「唐の墨」みたいになっていたんだそーです。
という訳で、カラスミの名前の由来は「唐(カラ)」の「墨(スミ)」にそっくりだったから…でした!
というわけで今回はこれで終わります。
最後まで閲覧していただいてありがとうございました。
今回は「高級珍味」自家製カラスミの作り方を紹介します。