こんにちはたかっぽです!
今回は ちょっぴりロマンチックな話ですよ。
ボクね・・・妻と16年間続けていた和食の店を閉めた後、しばらくある精肉会社に勤めていたことがあったの。
その頃ボクはもう50歳を過ぎていたけどね。
自宅から車で約30分小さな山の曲がりくねった坂道を登るとその会社はありました。
この話は勤めてから二か月、まだ暑さが残る9月の夕暮れ時の話です。
何時ものように仕事が終わり帰る途中竹藪の中に一輪の小さな花が咲いているのを見かけました。
黄色いコスモスです。
秋のさわやかな風にゆれていた。
毎日通るコースなのでボクはその花を見るのが楽しみのひとつになっていた。
<あの頃のボクは自分の好きな料理の仕事を離れ、慣れない仕事に身も心も疲れ果てていた。そんな気持ちを癒してくれたのがそのコスモスだったのです>
その日も何時ものように花を見て一度通り過ぎたけど、なぜかその日に限ってボクは車を止め花の所に戻っいったの。
そして、じっとその花を見つめたら、逆に花の方がボクに何か言いたそうにしてたんだよね。
そう感じたんです。
ボクは竹藪の中に入って行った。
よく見るとそのコスモスは茎が細くて小さく、ちょっと強い風でも吹かれたら折れてしまいそうな弱々しい花だったよ。
ボクと一緒にウチに行こう!
ボクは思わず彼女に向かってこう言ったの。
「こんな所に一人で咲いてて淋しくないかい? 竹藪の中は誰も見てくれないし仲間もいない、だからボクがキミをウチに連れてってあげるよ…いいだろう?
ボクのウチだったら他の花達もいっぱいいるし、人通りも多い、きっと楽しいよ~。
「今日からキミはボクの恋人だ!だからボクの家へ一緒に行こう!」
そう言って車の中にあったシャベルで土ごと掘り起こし、茎が折れないようにそっとビニール袋に包み車に乗せたの。
どうです? ちょっとこれ良い話でしょう?
でもこれ本当の話なんです。
家に花を持ち帰り、竹藪の中で咲いていた彼女?の事を妻に話し、軒下の小さな花壇を掘ってそこに植えました。
水も毎日かけてあげたよ。
でもね…。初めのうちは元気そうに見えた花だったけど、二週間もするとなぜか元気がなくなり花びらも散り、茎も うな垂れる様にして枯れてしまった。
ボクは「かえって悪いことしてしまったな~あのまま竹藪の中でそっと咲かせておいた方が良かったんじゃないか…余計な事してしまったナ」と後悔しました。
もともと弱々しい花だったからね・・・無理をさせてしまったと思ったよ。
その時は本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
なんと彼女は生きていた?
翌年になるとボクは例のコスモスの事はすっかり忘れていた。
梅雨に入ろうとしていた5月の末頃です。
何気なく軒下の花壇を見ると青々と茂った雑草が見える。
茎が太く二本あって葉っぱもワサワサとして多い。
ボクは他の花の邪魔になるから引き抜こうとした。
でも蓬(よもぎ)の様にも見えたのよね。
もしかしたら妻が植えたのかも…と思って聞いてみた。
しかし妻は「私は何もしてないよ、でも何だろうね?…分かるまでそっとしておいたら?」と言われそのままにしていたんです。
やがて9月になろうとしていた頃です。
突然「お父さん!お父さん!」と妻が呼ぶ。
行って見ると なんと黄色いツボミをいっぱい付けたあのコスモスが・・・?
これにはボクもおどろいた。すごく大きくなっていて、ツボミはまだ小さいが確かにあのコスモスだった。
もう「ダメ」になってしまったとばかり思っていたんだが、なんと彼女は生きていたのだ。
ボクは嬉しかったね。
雑草ではなかったんだ・・・あのコスモスだったんだ。
思わず生きていてくれてありがとう!
元気でいてくれてありがとう!
キミに逢えて本当によかった!
ボクは彼女に向ってそうい言ったよ。
そして9月も後半になると、それはそれは二本のコスモスは見事に咲いたの。
両手を広げて思いっきり自分を表現しているかの様に見える。
ウチに連れてきたあの時の弱々しい彼女とは まるで別ものだ。
ボクはその日から彼女を見るのが楽しみになった。
彼女と別れたハズだった・・・?
彼女がウチに来て数年がたった。
毎年秋になるとウチの周りが黄色一色になっている。
隣近所の庭先まで花のタネが風に吹かれて飛んで行き、周りがにぎやかだ。
しかし残念なことに、ボク達はこの家を出て行かなければならない日がやってきました。
ボクの住んでる家は借家です。築30年以上の古い立て物です。
四件あってこの古い物件を取り壊し、オーナーがアパートを立てることにしたんです。
その話を聞いたのは12月、六か月以内にはここを出なければならなくなりました。
次の年ボク達は新しい所へ引っ越すことになりました。
持っていく物は家具やその他必要なものと、軒下に植えていた小さな梅の木や南天、妻が大事にしていたプランターの花を少しだけ車に積んで新しい家へと向かいました。
残念だけどコスモスとはこれでお別れです・・・。
新しい家は市の区画整理の所だった。いつかは立ち退きがあるかも知れないがまだずっと先の話だと聞いていたので、ここを借りることに決めました。
新しい家はもともと民家だっただけに広々として住みやすい家でした。
やがて夏が過ぎ秋口に差し掛かろうとしていた。
なにげなく花壇の所を見ると何か「ポツリ、ポツリ」と黄色い小さな花の蕾が見える。
そばに行って見ると、なんとあのコスモス??
え…なんで?…なんで?
一瞬しんじられなかった。
しかしそれは間違いなくあの彼女だった。
別れたはずだったのに、彼女はこっそりついて来ていたんです。
「キミよくついて来てくれたね・・・!」
ボクは彼女にそう言ったよ。
梅の木の根っこか?
それとも南天に種が付いていたのか?
とにかくボクは彼女に再び逢えたことがすごく嬉しかった。
そして、秋が深くなるとまた以前のように花壇の周りがコスモスの花でいっぱいになったよ。
彼女はどこまでもボクについ来た!
コスモスは毎年増えて行き、前の時と同じように種が広がり辺り一面に咲いている。
新しい家は市の区画整理の所だと聞いてはいた。
三年目を過ぎた頃です。
なんと以外にも早く区画整理が始まることになってしまった。
ここの家のすぐ側を道路が通る事になるらしい。
ずっと先の話だと思ったのに、急にその事を知らされた時はショックを受けたよ。
勿論半年以上の余裕は見て貰えたが・・・。
半年後の五月の半ば、ここからはすこし遠くなるけれど、同じ市内に良い所が見つかったのでそこに超すことにしました。
今度も同じように家具やその他必要なものと、やはり梅の木、南天プランターに咲いてる花を少しだけを車に積み込んだのです。
今度こそコスモスともお別れだな…。
そして新しい所へ越してきて、約四か月が過ぎたころです。
ふと花壇に目をやると黄色い小さな花の蕾がチラホラ見える。
え、まさか?と思っそこへ行って見ました。
やっぱりそうだ!あのコスモスだ!
他の花達と一緒に元気に咲いている。
驚いたと言うよりこうなってくると、可愛くて可愛くて。
ボクは 彼女に向ってこういったよ。
キミには参ったよ、今度もついて来たんだね…でも嬉しいよ。
また周りを賑やかにしてくれよって。
竹藪の中で最初に言った「キミはボクの恋人だ一緒に行こう!」
この言葉を彼女は信じてボクについて行こうと決めていたのかな…。
またこんな不思議な事もありました。
知り合いに白とピンクのコスモスの花をもらいました。
いい仲間になると思って、同じ花壇の隅に植えてみたんです。
ところが一年咲いただけで次の年には全くダメになってしまったのです。
植え方が悪かったのかも知れないとおもって、今度は買ってきたんです。
しかし、その花もたった一年しかもたなかった。
黄色いコスモスはどんどん増えて行くのにね・・・。
どうしてダメになってしまうのか不思議でならない。
さて この話の中で大切なキーポイントが二つあることに気づいたでしょうか?
一つは【環境】です。
環境はとても大切なものだとボクは思ってます。
環境が変わると世界も変わってきます。
コスモスの例を挙げるならば、もしあのまま竹藪の中だったら果たして今の様に「一粒万倍」となっていただろうか?
家庭や仕事、人間関係その他の事も 環境は人生を左右する何かがあるように思います。
もし物事が上手くいかなかったり、悩みを抱えていたならば、少し環境を変えてみるのも一つの方法です。
例えば旅行をするとか、何か新しいことを始めてみるとか。気分が変わることをやってみるのです。
じっとしていては何も変わりません。行動を起こすのです。
もう一つは【言葉の波動】です。
妻も花が好きで花のそばにいる時が多い。そして、花に優しい言葉をかけています。ボクもコスモスの花に限らず、他の花や物にも常に声をかける様にしています。
人でも優しい言葉や励ましの言葉、褒め言葉を言われると嬉しいですよね。
そんな言葉を使ってる人に、親しみを覚えていい人たちが近寄ってきます。
物にも不思議と恵まれる様になってきます。
そうなれば自然と幸せな人生が送れるようになれるのは当たり前の事ではないでしょうか。
この20年間振り返ってみると、それ以前のボクは思う事が思うようにいかずつらい日が多かったように思う。
しかし、黄色いコスモス(彼女)と出会ってからは「不思議とツイてる事が多くなり、幸せな日々」がずっと続いています。
健康にも仕事にも恵まれ、いい人たちにも恵まれ、小さなことまで入れれば次々と良い現象が身の回りに起きています。
本当に感謝する事ばかりです。
きっと彼女は「幸せを呼ぶ黄色いコスモス」かもしれない!
・・・完・・・
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